え?沼津で海ぶどう?注目スポット「しずおか海ぶどうLABO」
2024.5.12
グルメ
日本一の富士山を眺めながら、休日を大きく楽しむ!
静岡県東部を中心とした新(深)情報サイト「ふじスマ+(プラス)」のライター、スマコです。
「海ぶどう」と聞くと、沖縄県をイメージされるかと思います。
静岡県沼津市で、静岡県内初の海ぶどうの養殖が行われているのをご存知でしょうか?
「おいしい海どうが食べたい!」と、食いしん坊のスマコが養殖場「しずおか海ぶどうLABO」にお邪魔しました。
海ぶどうを広めたい
「しずおか海ぶどうLABO」を運営するのは、長泉町の「Rカンパニー」。
代表の永井良太さん(長泉町出身)が移住先の沖縄県宮古島で、2018年から海ぶどうの養殖事業を知人より引き継ぎ、「グリーンキャビア宮古島」を設立しました。
”海の宝石とも呼ばれる海ぶどうの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい”
宮古島の養殖場を本拠地に、2022年から沼津市内で陸上養殖にチャレンジ。
その養殖場がまた興味深い場所にあるんです!
前例のない場所での陸上養殖
陸上養殖をしている場所は、2021年3月に廃校となった「沼津市立内浦小学校」のプール跡。
プール跡を活用した海ぶどうの養殖は前例がありません。
永井さんが本州での養殖を考えていた時に、同じ沼津市内で廃校のプールを利活用したスケートパーク「SKILL PARK」へ足を運び、その可能性を感じました。
地元で海ぶどうを知らない人が多いことを感じていたので、ぜひ地元でそのおいしさを広めたいという思いと、本州の真ん中に位置する静岡県という場所にも魅力を感じたと言います。
プール跡×海ぶどうの養殖の利点とは?
いざ陸上養殖をスタートすると、プール跡だからこその良さがありました。
まず、海ぶどうの養殖に必要な排水設備が備わっているため、初期費用を抑えることができました。
また、プール跡を利活用することで、沼津市の遊休資産の活用、雇用の創出、話題性による集客力向上など良いことづくしなのです。
陸上養殖には駿河湾の海水を使用
水槽の海水は殺菌しながら循環させていますが、養殖場から海まで約200メートル、汲み立ての海水が使用できることも沼津で養殖をする利点のひとつ。
また、取引先の多い関西や関東へ沖縄県から空輸する場合と比べ、沼津市からは運送できるため、コスト削減、CO2削減に。移送時間も短縮できるうえ、空調管理もしやすく、傷んでしまう商品を減らすことができます。
さらに、沖縄県産の海ぶどうの空輸のダメージを回復させる養生施設にもなっているため、状態を回復させ新鮮な状態でお客様の元へ届けることができるようになるなど、「沼津」で海ぶどうの養殖は、思った以上に適した場所のようです。
「ふじ山海ぶどう」のこれから
「しずおか海ぶどうLABO」場長の庄司昌弘さんにお話を伺いました。
”もっと欲しい”というお客様の声に応えられるように、沼津産の海ぶどうの収穫量を上げたいです。
そして、もっと養生場を増やしたいですね。就職先が少ないため、子どもたちが地元を離れてしまうケースが多いので、雇用を生み出すことで地元に住み続けられるようになればと考えています。
あと、これは画策中ですが、輸送ルートの確立を図っています。準備が整えば、さらに良い状態でお客様へお届けすることができるようになるので、海ぶどうをもっと身近に感じてもらえると思います。
沼津での養殖においてデータを残すことで、
本州で養殖技術を広げたい
「しずおか海ぶどうLABO」には15基の水槽があり、種となる母藻の育成、植え付け、養生とそれぞれの水槽で海ぶどうを栽培しています。(養殖用9基、養生用6基)1回の植え付けで1基あたり約80キロ収穫できます。スタート当初は、宮古島から空輸した海ぶどうを養生して出荷、またはベトナム産の海ぶどうを植え付けしていましたが、沼津産の海ぶどうも安定供給できるようになりました。
「植え付けを成功させるまでに本当に苦労しました」(庄司さん)
温暖な環境を好む海ぶどう。取り掛かった当初は、とにかく温度管理に気をつけました。
しかし、養殖のポイントとなる気温、照度、肥料など、宮古島と同じ栽培方法では思うように育ちませんでした。
お話の中で特に興味深かったのが、宮古島と駿河湾(沼津)の海水の塩分濃度が異なるということ。
雨の多い沖縄県だからなのか、駿河湾の海水の方が塩分濃度が高いため薄めて使用することも。その他に、予想していたよりも沼津の気温が高かったり、たっぷり陽が射したりと、沼津での栽培方法を見出すまでに時間がかかりました。
試行錯誤を重ね、2022年10月に初めて植え付けをし、同年12月に「ふじ山海ぶどう」の販売をスタートさせました。
収穫した海ぶどうは、すぐには食べられません。
庄司さんの前にある水槽は、養生用の水槽。
摘み取る作業によって切り口ができてしまうので、養生用の水槽で休ませることで洗浄、切り口の修復と状態を整えてから出荷します。
直売と卸を行っている「しずおか海ぶどうLABO」。予約フォームに『ご予約は3日前までの受付』と書かれている理由が養生期間にあります。
この作業を省いてしまうと、茎の切り口から水分が出てしまい、プチプチとした食感が損なわれてしまいます。収穫したらすぐに食べられると思っていたスマコ。
海ぶどうについて知らないことばかり。
出荷まですべて手作業
養生した海ぶどうは水気を切って、丁寧に選別します。
海水を使用しているため小エビが付いていることがあったり、潰れてしまった海ぶどうを取り除いたりとすべて手作業です。
一番おいしい状態でお届け
脱水した状態でパック詰めをし、「ふじ山海ぶどう」の掛け紙をして出荷準備OK!
一番おいしい状態に整えられた海ぶどう、新鮮で一粒一粒がキラキラと輝いています。
「しずおか海ぶどうLABO」で直売の他、静岡県東部のJA直売所、県東部のビッグデー、冬期を除き県内のしずてつストアで販売中。
店舗によっては隔週での取り扱いになるため、確実に手に入れたい方は取扱店にお問い合わせください。
沼津市内や三島市内の飲食店で提供しているお店があります。
見かけたらぜひ試してみてくださいね!
場長のオススメの食べ方は”海鮮丼”にプラス
そもそも海ぶどうは海藻の一種。ミネラルたっぷりで、食物繊維やカリウムなど美容にも良いんです!どのように食べるのがオススメか、庄司さんに聞いてみました。
「プチプチ感を味わっていただきたいので、海鮮丼にして食べるのがオススメです」
海鮮丼にしていただきましたが、口の中で音がするほどプチプチでした!やさしい塩味が食欲を掻き立てます。クセがなく、あっさりとしているのでいろいろな食べ方が楽しめそう。酢醤油や酢味噌もおいしいけれど、スマコはマヨネーズで食べるのにハマりそうです。
調味料に漬けておくと、海ぶどうが萎んでしまうので、食べる直前に和えてくださいね。
僕らの海ぶどうが、おいしいの入口になれば。
お客様の元へ一番いい状態で届けたいと努力されている庄司さんに、日々大切にしていることをお聞きしました。
「海ぶどうの食べ方や保存方法など認知度が低いと感じます。僕たちの海ぶどうが『おいしい』の入口になれば。そのためにも良いものを提供できるよう、クオリティを保つことを大切にしています。手間暇をかけて育てた海ぶどうなので、”うちの子をおいしく食べてほしい”そんな気持ちです」
とにかく重要なのは次の2点!
① 常温保存
② 直射日光は避ける
寒いのが苦手な海ぶどう、萎んでしまうので冷蔵庫での保管は絶対NG!
賞味期限の目安は一週間ですが、鮮度の良い状態で食べてほしいので3日くらいで食べ切りましょう。
1年を通じて栽培されていますが、海ぶどうが特においしいのは春と秋。
愛情をたっぷり注がれて育った沼津産の海ぶどうを、ぜひ召し上がってくださいね!
施設情報 – しずおか海ぶどうLABO
所在地:静岡県沼津市内浦三津249-1 旧内浦小学校プール跡
営業時間:9:00-17:00(直売対応)11:00-17:00
定休日:不定休
ホームページ:しずおか海ぶどうLABO
※直売については、事前にご予約ください。直売についてはコチラ。
【しずおか海ぶどうLABO SNS】
Instagram:https://www.instagram.com/screwwalker_shoji/
※2024年4月に取材しました