DIY初心者でも安心。誰でも気軽にものづくりが楽しめる根継商店(三島市)
2025.2.1
アート&カルチャー
日本一の富士山を眺めながら、休日を大きく楽しむ!
静岡県東部を中心とした新(深)情報サイト「ふじスマ+(プラス)」のライター、スマコです。
三島市のまちなかにありながら、子どもも大人も気軽にものづくり体験ができる注目スポットをご紹介します。

まちの中で人と人を繫げるような存在に
訪れたのは、三島市本町にある交流スペース「Via701」1階の「根継(ねつぎ)商店」。
2023年1月14日にオープンした、木工体験ができる、ものづくりの好きな人たちが集うお店です。
店名の”根継”とは、木造家屋の古い土台を切って取り除き、新しい木材に継ぎ足す際に用いる技法のこと。“ものづくりを通じてヒト・モノ・コトが繋がる場所”をコンセプトに掲げ、人と人を繫げられる存在になるようにと名付けられました。

地域のためにできることを、私たちだからこそできるやり方で。
「Via701」の館長でもある「根継商店」の秋元 亮彦(あきひこ)さんにお話を伺いました。
根継商店の母体は建設会社です。『三島のまちに文化と芸術の香りを』と、商店街の方々がこれまで地域の底上げを図ってこられた三島大通りの象徴である施設を引き継ぐことになり、三島のために私たちが最大限に貢献できることは何だろうと考えました。DIYや工作のできる場所を提供し、ものづくりのアドバイスができる人をまちに常駐させるという、私たちだからこそできるやり方で、この場所を最大限活用することにしました。年齢の垣根を越えて、ものづくりの好きな人たちが根継商店で繋がりをつくってくれたら、地域の文化を活性化させ、そして地域の人のためになるのでは。首都圏へのアクセスの良い三島に移住してくる方が増えています。マンションが増え、商店のまちから居住メインのまちへと変わってきていることもあり、住民同士の結びつきが少ないのではと思ったのです。オープンした後も、”何をしたら皆さんに一番喜ばれるか”を常に考えるようにしています。三嶋大祭りや商店街のイベントでは休憩所として開放し、家族連れなど多くの方に利用していただきました。

現役の大工が選書する、ジャンルを絞った専門書店
店内に備え付けられた大きな本棚。じつは、すべて建築、アート、デザインに関する書籍です。
一角に、建築等の専門書店「ものづくり書店」があります。
興味深い点は、現役の大工や建設業に関わるプロが選書していること。
子どもも楽しめる絵本を含め(もちろん家や大工に関するもの)、現在1300冊程度が取り揃えられています。こちらの書籍は、閲覧から購入まで可能です。
「マニアックなものから子ども向けの本まで取り揃えています。周辺で建築やデザインなどにジャンルを絞った書店はないので、これから取り扱う書籍の数をもっと増やしていきたいですね」(秋元さん)

手触りが心地よい木製品を販売
コースターや箸置き、名刺入れにキーホルダーなど、木製品を販売。
様々な種類の木材を使用し、中には浮造りなど日本の伝統的な加工技術を用いたものも。
色や木目など、それぞれの味わいがあり、見ているだけで心が躍ります。
手触りが心地よいうえ、長く使っていくと経年変化も楽しめるので、自分用はもちろんのこと大切な人へのプレゼント選びにもお勧めです。センスが光る木製品ばかりなので、年齢や性別を問わず、お気に入りがみつかるはず。

建築建材の取り扱いも
根継商店にはものづくりが好きな人にはたまらない、建築建材や家具などが展示販売されています。
カタログを見ただけでは、実際のサイズ感や質感は掴みにくいかもしれません。
実際にアイテムを手にすることで、より家づくりのイメージが具体的になりますね。
店内には、家づくりを彩るアイテムを展開する「toolbox」の展示スペース「toolbox showcace」や、一枚板専門店「杢巧館」があります。
根継商店に足を運んだからこそ出会える、厳選された建材アイテム。
木材の見積もり・注文の他、オリジナルの家具のオーダーも可能です。

地域のアート活動を後押し
店内の一角にある棚を、「netsugi showcase」として有料で個人に貸し出しています。
作品や活動の場として、地元アーティストの作品が展示販売されています。
気軽に借りられるレンタル料に設定している理由は、「みしまのまちに文化と芸術の香りを」と三島の文化の拠点として歩んできた前身の「Via701」のレガシーを継ぎ、地域のアート活動を後押ししたいという思いから。まちの文化的要素を高めていくためにも、店内の棚の充実に力を入れていきたいとのこと。
地元の人だけでなく、観光客も訪れるお店で多くの人に作品を観てもらえることは、アーティストにとっても貴重な機会ですね。

三島の魅力が詰まった壁画に注目!
伊豆箱根鉄道「三島広小路駅」から三嶋大社を繋ぐ、三島大通り商店街に面する「Via701」。
ひと際目を引くのが、ファサードに描かれた大きな壁画です。
その大きさ、なんと5m×15m!社員の越智俊介さんがデザインし、自ら筆を執って仕上げた作品です。
”活気のあるまちであるために、まちを常にきれいに”
秋元さんの思いが、壁画が描かれるきっかけになりました。
東京芸術大学を卒業されアーティストとしても数々の受賞歴もある越智さんに壁画製作を依頼。三島の歴史や魅力など、まちのいろいろな要素を取り入れた「商店街を見守る三嶋大明神」が完成しました。

事前予約不要でワークショップが楽しめる!
根継商店のすごいところは、ふらっと立ち寄っていつでも木工ワークショップが体験できるところ。
しかも、常駐する大工さんのサポート付き!どのワークショップを選んでもお財布にやさしい料金なので、家族みんなで体験して自分専用の木製品を手づくりするのもいいですね。
■ トイカメラ…2,000円(税込) ※製作時間約45分
■ ヘリンボーントレイ…小2,000円/大3,000円(税込) ※製作時間約1時間
■ 鉋で箸をつくろう…1,500円(税込) ※製作時間約1時間
■ チギリの箸置き…1個250円(税込) ※製作時間約30分 など
≫ 団体利用の場合は事前に連絡をしてください
その他に、「木のこいのぼり」や「クリスマスツリー」など、期間限定で季節のワークショップも登場するので、そちらも見逃せません。
また、木製品のキットも店内で販売中。材料と製作手順の説明がセットになっているので、ご家庭に工具がある方はこちらもお勧めです。

鉋(かんな)を使ったオリジナルお箸作りにチャレンジ
スマコは「鉋を使ったお箸づくり」に挑戦しました。
まず料金をお支払いし、店内「まちの作業場」コーナーへ。
まずは、どの木を使ってお箸を作るか、素材選びからスタートです。
オークやウォルナット、ヒノキなど、数種類の中から好きなものを選びます。
どれにしようか悩んでいたところ、削りやすさの指標として、木の柔らかさを教えてくれました。
なかでもヒノキが削りやすいとアドバイスをいただきましたが、今回は色味が気に入った「クリ」をチョイス。

手ぶらで来店OK!気軽にものづくりを楽しさが味わえる
この日、生まれて初めて鉋を使って製作をするDIY超初心者のスマコをサポートしてくれたのは、根継商店の櫻井謙治さん。
櫻井さんは現役の大工さんであり、美術団体展「日展(にってん)」で入選された経歴をもつアーティストでもあります。櫻井さんの作品が店内に飾られているので、ぜひ探してみてください。
鉋の持ち方や削る時の力の入れ方などレクチャーを受け、いよいよ製作開始です。
ワークショップで使用する工具はすべて貸し出してくれるので、利用者が用意するものは特にありません。手ぶらで出掛けて、気軽にものづくりが楽しめる作業環境が整っています。

丁寧なサポートがあるので、ものづくり初心者でも安心
木工体験は子どもの時以来、手先も器用な方ではありません。
正直なところ最後まで仕上げられるか心配でしたが、大工さんお手製のお箸づくりの補助工具を使い、櫻井さんのアドバイスとサポートのおかげで無事に出来上がりました。
最初はたどたどしい手つきだった鉋がけも、回数をこなすうちに余分な力が抜け、身体が自然と動くようになったのが自分でもわかりました。もう少し削った方がよいか、指先の感覚で塩梅を確かめたり、削る時の感触や木の香りを味わったりしていくうちに、徐々に”私のお箸”と愛着が湧いてきました。
ものづくりのおもしろさを体験することができたので、次は何のワークショップに挑戦しようかと、気持ちに大きな変化がありました。始めた時に感じていた不安が嘘のようです。

大切な人へのプレゼントやお土産にいかがですか
DIY初心者の私からしてみたら、とても満足いくお箸が完成!
最後に、導入したばかりのレーザー刻印を記念に施してもらいました。
木工ワークショップでは、あなただけの特別なひと品が出来上がります。
大切な人へのプレゼントやお土産にいかがでしょうか。
根継商店のスタッフさんは、現役の大工さん。母体の建設会社には100人以上の大工さんがいます。普段、建築の関係者とやりとりをすることが多く、一般の方にサービスを提供する機会はありません。若い大工にとって、根継商店は”コミュニケーションの教育の場”。さらに、現場を美しく保つこと、気遣いなどサービスの質の向上という若手社員の育成につながり、会社にとってもブランド力を上げる大切な場所になっています。

工具の貸し出しOK!まちの作業場(レンタルスペース)
スマコがお箸作りを体験したスペースは、DIYが自由にできる「まちの作業場」。
DIY以外に、ワークショップや打ち合わせ場所として利用できるレンタルスペースでもあります。
利用料金に、集め始めると”沼”と言われる工具の使用料なども含まれると聞いて驚きです。
作業をされていたお客様にお話を伺いました。
「長野県から運んできた木材を使って、書斎テーブルを作っています。今はテーブルの脚を取り付けようとしているところです。住んでいるところは長泉町ですが、近隣でこうして作業ができる場所を探していて偶然みつけました。工具など貸し出してくれるところ、アドバイスをもらえたり、プロの技巧で作業をサポートしてもらえたりと、本当に良い場所に出会えました」
■ 2時間…1,000円(税込)
■ 1日…2,000円(税込)
水曜日と日曜日は、フリー作業優先のため、貸切利用は利用できません。
「まちの作業場」利用予約、貸切予約を希望される方は【cotact@netsugi.jp】まで。

持ち味を活かせる仕掛けづくりを。
2025年1月で2周年を迎えた根継商店。
現在のお店の在り方と、これからの展望をお聞きしました。
おかげさまで近隣にお住いの方からの認知度も高くなり、クチコミでお客様がお見えになるようになりました。夏休みなどは子ども連れが多く、平日はご年配の方が来店され、いろいろな年代の方が利用されています。特殊な道具も揃っていますので、DIYされる方もここで技術を磨いて成長してもらえたら嬉しいです。
そして、建築業界で働くプロの方にもぜひ使っていただきたいですね。首都圏で働く方や技術者やアート関係の方、金属を扱う職人さんなど、会社や所属に関係なく繋がって情報交換をしたり技術を高め合ってほしいです。専門家の方が来たくなるような仕掛けをつくっていきたいと思っています。
見るだけでもいいので、近くに来ることがあれば気軽に寄ってください。職人が常駐していますので、根継商店でどんなことができるのか、気軽に聞いてみてください。
「根継商店」での出会いをきっかけに新しい文化が創造され、三島のまちに活気をもたらしてくれる予感。新しいことに挑戦するきっかけが欲しい方、地域で繋がりをつくりたい方、根継商店がはじめの一歩を踏み出すお手伝いをしてくれます。
スポット情報 – 根継商店
所在地:静岡県三島市本町7-30 Via701(1F)
TEL:055-955-5770
営業時間:10:00-17:00
定休日:火曜日
根継商店ホームページ
X:@Via701_
facebookページ:根継商店
Instagram:@netsugi_shouten
2025年1月に取材しました