沼津の春は海からやってくる!天下の奇祭「大瀬まつり」(沼津市)
2025.4.11
暮らし
日本一の富士山を眺めながら、休日を大きく楽しむ!
静岡県東部を中心とした新(深)情報サイト「ふじスマ+(プラス)」のライター、スマコです。
ふじスマプラス連携エリア内にはたくさんのお祭りがありますが、”天下の奇祭”と呼ばれるお祭りは、なかなかないのでは?!漁業の盛んな沼津市の歴史が感じられるお祭り、「大瀬(おせ)まつり」に行ってきました。

春の訪れを告げる天下の奇祭「大瀬まつり」
沼津市の海岸線の長さは約60km。海が身近な沼津市で、毎年4月4日に行われる「大瀬まつり」。
この日は、早朝から大瀬崎周辺の港は賑やかです。
「大瀬まつり」は、駿河湾の漁師が信仰する「大瀬神社」のお祭り。
漁師にとっても、地域の人たちにとっても、特別な一日なのです。
華やかで見ているだけで明るい気持ちになれる「大瀬まつり」の踊り船。
これまで何度か、内浦漁港でのパレードは観に行ったことがあるものの、お祭り当日に大瀬神社に参拝に行ったことがないスマコ。気合を入れて、今年は早起きをして大瀬崎まで足を伸ばすことに。

航路で大瀬崎へ!千鳥観光汽船「大瀬まつり特別便」
大瀬崎までの行き方と所要時間を考えた時に、心配になったのが駐車場。コロナ禍以来の大々的ば大瀬まつりということもあり、楽しみにしている人は多く、訪れる観光客もきっと多いのでは。せっかく車を走らせ向かっても、駐車場が満車で駐められない、そんな状況が無きにしも非ず。
そこで今回は、以前ご紹介した「千鳥観光汽船」の特別企画、「大瀬まつり特別便」を利用して大瀬崎へ向かうことに。踊り船仕様に装飾された遊覧船に乗って、7:45に沼津港を出発。事前予約は必要なしという気軽さもありがたいですね。
まずは「ちどり沼津港ひものセンター」で、特別便の乗船券を購入。(往復券の他に、片道分のみの販売があります)往路は7:45に沼津港を出発し、復路は10:15に大瀬崎を出発、11:00前には沼津港に戻ってくることができます。大瀬崎での自由時間が1時間30分程度あるため、時間に追われることなく、大瀬まつりをたっぷり楽しむことができるスケジュールです。

約30分のクルージング!絶景を満喫しながら大瀬崎へ!
「大瀬まつり」当日は、青空のうえ、海も穏やか。気持ちの良い海風を楽しんでいると、雲の中から富士山が顔を出してくれました。
大瀬崎へ向かう途中、西浦の沖辺りで踊り船に遭遇。
内浦漁港のパレード以外で踊り船を見たのは初めてだったので、速度を上げて沖を進む踊り船の美しさに、カメラのシャッターを押す手が止まりません。
「陸路と悩んだけれど、航路を選んでよかった~!」

ちゃんちゃらおかし ちゃらおかし♪彩り豊かな踊り船
その独特な祭りのスタイルが、”天下の奇祭”と呼ばれる理由です。
大瀬神社へ参拝に向かう船に乗り込んだ人たちを見ると、顔が真っ白!
化粧をして女性用の長襦袢を纏い、日の丸の扇子を手に、歌いながら賑やかに「勇み踊り」を披露します。男神である祭神の「引手力命(ひきてのちからのみこと)」を喜ばせるための勇み踊りと言われています。
「ちゃんちゃらおかし ちゃらおかし あのこのしゃっつら まだおかし」
お囃子に合わせて歌いながら、ひたすら踊りまくるから「踊り船」。
「ちゃんちゃらおかし」は、あまりにばかげていて、思わず笑ってしまう様子を表現する言葉。
船に乗る男性や子どもたちは、朝早い時間に公民館や地区センターなどに集合。白塗りを担当する人、頬紅を塗る人と、地域の女性みんなで化粧を施すのだとか。真っ白に塗られた顔を見合わせたら、自然と笑顔がこぼれてしまいますね!なんともまぁ、陽気で明るくたのしいお祭りです。

華やかに飾り付けられた踊り船
紅白幕や大漁旗などで飾り付けられた踊り船は、見ているだけで運気が上がりそう!色鮮やかな大漁旗の数々がはためき、ダルマやこいのぼり、花などの装飾が彩り豊かで、まさに船全体が縁起物。
船の縁には魔除けのスギが飾られ、春らしく菜の花や桜を飾る船も。
地域の人たちが協力して踊り船の飾り付けをするのだそう。
船によって装飾が異なり、特徴があるので、踊り船ごとのこだわりの装飾にぜひ注目してくださいね。

海の守護神「大瀬神社」
駿河湾で漁業に携わる人たちが信仰する「大瀬神社」。
引手力命(ひきてちからみこと)が祀られています。
見惚れてしまう美しい彫刻が施された本殿にかけられた「赤い褌(ふんどし)」は、海上の安全と大漁を祈願して奉納されたもの。
今年の大瀬まつり参拝の際に新たに奉納された、真新しい褌が写っています(上写真)

海上安全!豊漁祈願!大瀬神社参拝
「大瀬まつり」には、沼津市内だけでなく、静岡市内の由比や蒲原からも大瀬神社へと集まります。
桟橋には、長い竹に大漁旗を掲げた船が停留。今年は20隻弱の漁船が参拝に訪れました。
船に乗ってきた漁師やその家族たちが、新鮮な魚、御神酒、米などを奉納し、航海の安全と豊漁を祈願します。

大瀬まつり(大瀬崎のにぎわい)
砂浜にステージが設営され、市内中高校生による和太鼓の演奏やバトン部の演舞などが行われ、お祭りに華を添えました。また、甘酒や御神酒の振舞いに大漁鍋の販売など、地元の人たちと観光客で大瀬崎は大変賑わっていました。

【同時開催】内浦にぎわい祭り
2025年は、大瀬まつりに合わせて内浦漁港を会場に「内浦にぎわい祭り」が開催され、平日にも拘わらず多くの来場がありました。
地元の農産物海産物の販売の他、伊豆三津シーパラダイスから移動水族館も!ペンギンを間近に見られて、子どもたちは興味津々。これまでに、ふじスマプラスでご紹介した、「富士山海ぶどうLABO」や「リポップ」も出店していました。
また、たくさんのキッチンカーが出店し、西浦で栽培されたみかんやレモンを使用したメニューなど、地元食材を味わえるメニューも販売。
お昼には、大瀬崎から内浦漁港へと移動した踊り船が入港し、会場は大盛り上がりでした。

春到来!沼津の春は海からやってくる
おめでたい踊り船の飾りを見ると、いよいよ春本番!そんな気持ちになります。
豊かな海が暮らしを支える沼津だからこそ、受け継がれている歴史と文化があります。
昭和の頃と比べると、踊り船の数がずいぶん少なくなりました。しかし、文化を次世代に繋いでいくために保存会という形をとりつつ、地域が一丸となって執り行っているお祭りです。
地域を大切にする思いがあっても、地域の仕事に活気がなければそこで暮らしていくのは難しくなってしまうでしょう。興味をもってその土地へ足を運ぶこと、沼津で水揚げされた海産物を食べることが、すごくシンプルだけれど、こうした歴史ある文化を守るために私たちにできること。地域産業や文化を尊び大切にしていくことが産業を盛り上げ、次世代へと継承されていくのではないでしょうか。
来年、2026年の「大瀬まつり」は土曜日!さらに賑やかになりそうですね。
イベント情報 – 大瀬まつり
沼津市西浦江梨329 (大瀬神社所在地)
有料駐車場あり(大瀬駐車場)
2025年4月に取材しました
※記事内の価格について変動する可能性があります