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沼津茶からはじまるモノガタリ「お茶資源活用部会」(沼津市)

2025.5.8

暮らし

日本一の富士山を眺めながら、休日を大きく楽しむ!
静岡県東部を中心とした新(深)情報サイト「ふじスマ+(プラス)」のライター、スマコです。

食後に緑茶を飲まないとなんだか物足りない。スマコにとってお茶は生活の一部になっていいます。また、緑茶に限らず、和紅茶やウーロン茶など、その時の気分でお茶を選んで楽しむことが、仕事の合間のリフレッシュ方法です。こうして考えてみると、ホッとしたい時にお茶を飲んでいるのかも。

静岡県を抜き、荒茶生産量の日本一が鹿児島県になったというニュースを知り、静岡県内のお茶屋さん、お茶生産者の皆さんを今まで以上に応援したい気持ちが強くなりました。

ふじスマプラスでは、連携エリア内のお茶に携わる方々の活動や商品、サービスをこれから積極的にご紹介していきます。

沼津茶のファンを増やそう!大人も子どもも楽しめるイベントを企画

静岡県の茶産地のひとつ沼津市、愛鷹山(あしたかやま)周辺にお茶畑が広がっています。
お茶処として沼津茶のファンを増やそう!と、大人も子どもも楽しめる企画や愛されるプロダクト開発を長年続ける団体があります。

地元の茶産業の活性化を目指し、力を合わせ、沼津茶のファンづくりに奮闘する製茶業者(茶農家)の皆さんを取材しました。

お茶資源活用部会の皆さん

お茶資源活用部会(通称:お茶の実部会)」は、愛鷹山周辺で栽培から加工までを行う自園自製の製茶業者(茶農家)をメインに構成された団体です。約15年前の結成時からメンバーの入れ替わりはあるものの、現在は8事業者が会員として、地元小学校の社会科見学を受け入れるなど、日頃から沼津茶の魅力を発信しています。

お邪魔した「お茶の実相撲体験」で出会ったお茶の実部会会員の皆さんがこちら。

井出摩訶茶園 井出さん(上写真左)
ぐり茶の五十鈴園 鈴木さん(上写真左から2番目)
カネトミ深沢製茶 深沢さん(上写真中央)
Urara 秋山さん(上写真右側)
沼津市商工会 柏木さん (上写真右から2番目)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お茶資源活用部会」メンバーの共通点は、沼津市商工会に所属していること。
部会の結成からメンバーのマッチング、プロダクトの開発と、沼津市商工会のバックアップのもと、活動が続けられています。

遊休茶園を地域資源としてイベントを企画

後継者がいないため発生する遊休茶園は、沼津に限らずどの茶産地でも課題となっています。
「お茶資源活用部会」では、日々の茶栽培とは別に、新東名高速道路・駿河湾沼津サービスエリア近くの遊休茶園を会員で整備し、地域資源としてその活用を図っています。

沼津市商工会を介して商品開発への協力の打診があり、お茶の実から商品を作ることにチャレンジしました。商品開発に必要なものは、お茶の実から精製するオイル。プロダクト作成にあたり、たくさんのお茶の実が必要です。しかし、子孫を残そうとお茶の実ができる状態は、お茶の木が弱っていることを意味します。茶栽培において、お茶の実がたくさん採れる茶の木は本来あり得ません。ですが、遊休茶園であれば話は別、部会で管理している遊休茶園で採集したお茶の実を活用することに。

さらに、「お茶の実拾い体験会」と銘打ってイベントにすることで、活動を知ってもらうとともに大勢の人に楽しみながら手伝ってもらおうという皆さんの企画力に脱帽です!

オリジナルプロダクト「練り香水 Chas is.」

ツバキ科の植物であるお茶の木、その実を搾ると「茶の実油」が抽出されます。
良質なオイルは食用油としても使用できますが、その成分と効能からスキンケアやヘアーケアの化粧品に加工して利用することも。

「お茶資源活用部会」最初のプロダクトが、平成27年(2015年)に誕生した「富士実香(ふじみこう)」でした。「愛鷹(あしたか)緑茶」、「原宿(はらしゅく)ざくら」、「戸田(へだ)たちばな」の、沼津らしい3種類の香りが楽しめる練り香水です。

活動を続ける中で、廃棄されてしまう農作物を活かして石鹸づくりをする「Urara」の秋山さんが新たに仲間入りしました。プロダクト開発やブランディングなどを得意とする秋山さんの加入をきっかけに、練り香水のリニューアルと新たにプロダクト開発を図ったのです。

苛性ソーダ以外は、食べ物・植物で作ること
■ 石鹸に個性を出すための材料は、自身で収穫すること
■ すべての工程を手作業で行うこと

この3つのこだわりをもとに、環境にもお肌にも優しい石鹸が出来上がります。

■練り香水と石鹸「Chas is.」
「Chas is.」とは、茶の実オイルと”ありのまま”を意味する「As is.」を掛け合わせた造語。

ちょっとした日常からAs is.をはじめよう
をコンセプトに作られたシリーズで、2024年に誕生しました。

高級な茶の実オイルをふんだんに使った石鹸と練り香水は、大変贅沢な逸品。
だからこそ、自分自身のケアや、大切な人への贈り物としてオススメしたいプロダクトです。

お茶の実の可能性を引き出す活動

「お茶資源活用部会」は、プロダクトの開発の他に、お茶の実の可能性を引き出す活動として、茶畑を飛び出してワークショップを実施しています。

これからも活動を継続していくために、お茶資源活動部会の皆さんの気持ちは常に前を向いています。精度の高い製品を生産できるよう商品の改良、コスト削減を図るなど、現状を把握し、改善に向けて意欲的に活動しています。「Chas is.」は、現在、お茶資源活用部会メンバーの店舗やイベントでの販売の他、Uraraのオンラインショップで販売しています。新しいお客様との出会いを求め、いろいろな場所で「Chas is.」が手に取れるよう、販路開拓に取り組んでいる最中です。

お茶の実相撲体験 in 沼津コート

2025年3月22日(土)に「ららぽーと沼津」1階「沼津コート」を会場に行われた「お茶の実相撲体験」。
じつは、昨年2024年12月に続き、この日は第2回目の開催。未就園児から大人まで20人弱が集まりました。

イベントやワークショップを企画する理由は、地元の茶産業に興味を持ってもらったり、沼津茶のおいしさを知ってファンになってもらうため。「お茶資源活用部会」会長の鈴木さんが淹れてくれたお茶を飲みながら体験がスタートしました。

≫年齢制限なしで誰でも参加OK!
≫1回の所要時間は、約1時間半。
≫参加費500円(税込)

お茶の実相撲体験の他に、沼津茶を飲みながら、お茶やお茶の実について、お茶農家さんから直接話を聞いたり質問したりと沼津茶を身近に感じられる機会です。

お茶の実を使った昔ながらの遊び”お茶の実相撲”

「お茶の実相撲」のルールは至ってシンプル。お茶の実を1つ選び、対戦相手とお茶の実の窪んだ部分を合わせて押し合います。相手の実を潰す、または割ることができた方の勝ちです。茶産地だからこその昔ながらの遊びですね!

この日、初めてお茶の実に触れる子もいました。
茶産地に住んでいても、お茶畑に足を踏み入れたり、お茶の木に触れたりする機会はそうありません。体験することは、子どもにとって大きな学びの機会ですね。

シンプルだからおもしろい

「お茶の実相撲」のポイントは…割れない丈夫なお茶の実を引き当てられるかどうか。丈夫な実の見分け方は特にないそうで、”運”が勝敗を左右するところがおもしろい!年齢や力の強さ、体格差などに関わらず、誰もが平等に戦うことができます。

未就園児が小学生に勝っちゃうなんてパターンもあるわけです。

最初は少し緊張していた様子の子どもたちでしたが、”2回戦もやりたい!”と前のめりな姿勢でお茶の実を真剣に選ぶ姿が印象的でした。

おとなと子どもと真剣勝負!

「お茶の実相撲」はトーナメント形式で行われ、夢中になった子どもたち、笑いあり、涙ありの白熱した試合が繰り広げられました。

大人も子どもも関係なく真剣勝負ができるから、これだけ盛り上がるのでしょうね!

スマコも参戦!『子どもに勝っちゃまずいよなぁ』なんて考えていたら、速攻で負けて一回戦敗退。要らぬ心配でした(笑)

お茶の実相撲は大盛り上がり!

最後に、「お茶資源活用部会」の皆さんの自慢のお茶をお土産にもらって嬉しそうな子どもたちでした。「お茶の実相撲体験」の報告をしながら、きっと家族でティータイムを楽しんでくれたことでしょう。

参加者からは、「お茶の実拾いのような茶畑を会場にしたイベントをまた開催してほしい」という声も。
しかし、遊休茶園はシカやイノシシなど野生動物の生息地となることが多く、そうした野生動物を宿主としているマダニによる感染症を懸念して、近年、茶畑での体験やイベントを見合わせているといいます。

部会としても子どもたちに色々な体験の機会をと考えているため、地域の子どもたちにお茶の魅力を伝える活動の継続と、遊休茶園の整備をさらに進めていきたいとのこと。

イベントやワークショップに参加して、部会員の皆さんの熱い思いをぜひ直接受け止めてください。沼津茶が大好きになりますよ。沼津茶や「Chas is」のプロダクトを手にとることが、「お茶資源活動部会」の活動の後押しになります。

今年も新茶シーズンがやってきました。萌黄色の新芽が伸び、今の時期しか見られない沼津の景色と新茶を味わってみてはいかがでしょうか。これらはお茶農家さんが日々丹精込めてお茶づくり励んでいるからこそ味わえるものと、心に留めていたいですね。



団体情報 – お茶資源活用部会(お茶の実部会)

沼津市商工会 本所・原支所
所在地:静岡県沼津市原1200-1

≫静岡県沼津市商工会ブログ https://numazu-s.blog.jp/archives/cat_48176.html
≫練り香水「Chas is.」、石鹸購入は「Urara」専用サイトから https://urara.work/

2025年3月に取材しました

※記事内の価格について変動する可能性があります

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