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作品と会場が織り成す世界をたのしむ油絵画家。北見美佳個展「鯨と目を合わせる」

2024.4.18

アート&カルチャー

みなさん、こんにちは!

日本一の富士山を眺めながら、休日を大きく楽しむ!
静岡県東部を中心とした新(深)情報サイト「ふじスマ+(プラス)」のライター、スマコです。

沼津市内浦三津にあります、ギャラリー、イベントスペース「omusubi」で開催中の油絵画家北見美佳さんの個展「鯨と目を合わせる」にお邪魔しました。

「クジラさんがジャンプしてる」

建物に掲げられた、クジラがプリントされたクロスが風ではためく様子を見た男の子のつぶやきです。

大人だけでなく、お子さんと一緒に家族みんなで楽しめる展示。
見どころと画家の北見美佳さんについてご紹介します。

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油絵画家 北見美佳個展
鯨と目を合わせる
2024年4月12日(金)~23日(水)※15、16、19日休館
11:00-16:00 ※入場無料
≫開放日の急な変更については、SNSでお知らせ
後援:美しく豊かな静岡の海を未来につなぐ会


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生きるよろこびを伝える。描きたいのは生命力。

━━━━━━━画家になろうと思ったきっかけは?

転機が訪れたのは2011年3月、当時、地元で働いていた北見さん。
東日本大震災のニュースをテレビで見て、”もしかしたら自分もそこにいたかもしれない”と生き方について改めて考えるようになりました。

-命の炎を燃やさねば-

退職し、連絡をとって同級生に会うなかで、人から人へとご縁が紡がれ、後に師と仰ぐ山川茂さんと出会います。

2011年5月、当時描いた作品を20点ほど持参し、山川画伯の自宅兼アトリエを訪ねました。
「いい線は描けている。でも絵にはなっていない。僕のところで絵を学べば画家になれる」
時間をかけて丁寧に北見さんの作品を観てくれた山川画伯のこの言葉に、その日のうちに弟子入りを志願しました。

師匠と芸術家である妻の陽子さんと兄弟子と生活を共にしながら絵を学んだ約5年間、真剣に絵と向き合うことができたこと、時には意見がぶつかり合う場面もありましたが、芸術には正解がなく、ひとりひとり思うこと感じることが違うということに気づくことができてよかったと言います。

山川家では、画家として生き様を見せつけられた、と話す北見さん。

━━━━━━━描く時に大切にしていることはありますか?

改めて言葉にすると難しいですけど、生きるよろこびや、力強い絵を描きたいと考えています。“生命力”のある生きている絵を描きたいです。

山川画伯に、”空間”を学びました。
最初、師匠が言っている”空間”の意味がわからなくて、でも、絵を描き続けることでわかるようになりました。生きているものの周りには空気があって、呼吸できる空間を描くことができれば、私が描きたいと思っている生命力を持つ絵が描けるんです。

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北見美佳 プロフィール

1986年 松崎町出身。沼津にアトリエをかまえる。
2011年 在仏歴21年の野獣派画家山川茂画伯(当時86歳)と出会い、溢れるパッションに触れ画家として   生きる事を決意、山川塾初の女性内弟子となる(~2016年)師とアトリエを共にし、画家としての生き様を叩き込まれる。
2018年 原泉アートデイズ!(2019、2020)
2019年 個展(吉田温泉)
〃    島×宇宙芸術祭展(広田遺跡ミュージアム/種子島)
2020年 野獣派山川茂師弟作品展(ぬましんストリートギャラリー)
〃    絵本「ユラストヲリ」出版
2021年 ユラストヲリ展(沼津ラクーン,沼津コート)
2022年吉野エージェンシーまちかどアートギャラリー(2023)
2023年 KIRAMEKI EUREKA!展(dolip)

大きい作品は描いていてたのしい

今回の展示でひと際目を引く作品「von!-sea-」は、200号という大作。(2590mm×1940mm)
「von」は、アイスランド語で「希望」を意味する言葉。
大きな作品は描いていてたのしいと言います。

脚立に乗って描いたり、絵をひっくり返して描いたりと、大きな作品の制作にはかなり体力を使います。数年前に骨折した際、腕を思うように動かせない時があり、”描ける時に大きな作品を描こう!ありがたいことに大きな作品を描ける環境もあるし”と、思ったのだとか。

2022年からは「戦争、人間の心について」がテーマの1,000号の作品に着手。
キャンバスの最大サイズである500号を2枚使用した1,000号の絵を制作中です。

展示の大きな楽しみは、作品を生み出した作家さんから直接お話を聞きながら、作品を鑑賞できることではないでしょうか。

「作品=自分なんです。絵を見てその人の人間性を知ることができるので、展示はドキドキしますね」

展示という機会、そして来場した方たちとの会話を通じて、北見さんは自身の作品を客観的に観ることができると同時に、お客さんの感想や意見を聞くことで成長できると言います。

お話を伺うなかで興味深かったのが、作品のタイトルが変わるということ。
同じ作品であっても、展示によって作品名を変えることは、北見さんの展示ではよくあることなのだとか。北見さんと作品が常に変化し続けていることを感じられるお話でした。

「dream came true」大好きなクジラがすぐそばに

展示準備を進めているなか、2024年3月に会場近くの沼津市西浦の海にザトウクジラが現れました。
元気に数回ジャンプをして沖の方へと泳いでいったそうです。
駿河湾でクジラが目撃されることは数年に1回あるかないかの珍しいこと。

『大好きなクジラが展示会場のすぐ近くまで来てくれた』

”富士山が見えて、大好きなクジラがジャンプして夢みたいな景色”と、この出来事をきっかけに、駿河湾越しの富士山を描いた作品に、ザトウクジラを描き足した北見さん。
「dream came true」の作品名からも北見さんの思いが伝わります。

2階からも目を合わせる

会場「omusubi」の2階を活用した展示は、今回が初めての試み。
1階を海中、2階を海上に見立て、作品を展示しています。これは会場の片付けをしながら思いついたアイデア。2階からもクジラと目を合わせることができます。

キャンバスに描き切れないくらいの大きさ。
-クジラと目を合わせたら、こんな感じではないだろうか-
どれぐらい大きいクジラなのだろうと、観ている人の想像力を掻き立てる作品「welcome to the universe」(F120 号)。

訪れた日の天気によって、作品の雰囲気ががらりと変わるところも魅力。
天気の良い日には、サンキャッチャーの光が作品に当たり、まるで海の中の泡のよう。
曇りや雨の日には、青色がさらに深く感じられ、作品の力強さに圧倒されそうになります。
時間が許せば、光と共に刻一刻と変化する作品をじっくりと楽しんでみてください。

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鯨は海の中で宇宙や哲学を思考しているのではないかと、
鯨と目を合わせたら宇宙が広がっているのではないかと、憧れを持っています。
個人的な夢を想像で実現させました。

昔の郵便局だった古い建物(omusubi)の中は、海のそば、住宅の中にあることを忘れて、
時空を超えた異空間に来たかのような、知らないのに知っているような不思議な感覚になる場所です。
天気や時間によって窓からの光が陰影を落とす様子を見飽きることはありません。
建物の持つ神秘的な空間の中で、呼吸を始める絵画たちがみつめ返してきます。

二階建ての空間を生かして、一階を海中、二階を海上の世界としました。
「von!-sea-」F200号(2590mm×1940mm)は、教会のような祈りの空間をイメージして描き、
自然光が美しく射すomusubiの雰囲気に調和することができました。 2024年3月
北見美佳

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できれば何度も足を運んで、作品が放つ瞬間の美しさを感じてとってくださいね。

おすすめフォトスポット

2階の窓からクジラと一緒に記念撮影がおすすめ!

イベント時しか開放していないスポットなので、この機会にぜひ撮影にチャレンジしてみてくださいね!スタッフの手が空いている時なら撮影のお手伝いをしてくれるとのこと。おひとりで来場された方もぜひスタッフの方に声をかけてみてください。
(古い建物なので、撮影の際には十分気をつけてください)

北見美佳さんの作品をデザインした、
オリジナルグッズを販売中

会場内の一角では、画集や絵本の他、北見さんの作品をデザインしたオリジナルグッズを販売しています。今回の展示に合わせて新発売したハンカチは残り少なくなっているので、気になっている方はお早めに足を運んでくださいね。展示している作品も購入可能です!

その場所でしか生まれない作品と展示をたのしみたい

アートオブレジデンスのように、長い時間をかけてその場所と向き合い、じっくりと制作活動や展示に取り組むことが好きという北見さん。

今回、会場となっている「omusubi」は海のすぐそばに位置し、築約100年という建物が持つ歴史の重なりと、下絵から幾重にも絵の具を重ねて描く油絵がシンクロし、光の入り方も北見さんがイメージするクジラと合っているのだと言います。

”もっとこうしたい”
展示期間中も展示方法を変えるなど、その場所でしか生まれない作品と展示をたのしみたいと考えています。

「画家を13年続けてきて、見える世界が広がっていると感じています。自分の絵はまだ伸びしろがあるなと。描いている時は立ち止まらないので、展示では客観的に自分の作品を観ることができ、次はこういう作品が描きたいと多くの気づきがあります」

会期中のオープン日には、必ず北見さんが在廊します。
話しかけるのは勇気が要るかもしれませんが、とても気さくにお話してくれるので、作品を観て感じたことをぜひ北見さんに直接伝えてくださいね。

「本当に来てよかった」来場者から自然と出た言葉と、その穏やかな表情が印象的でした。
ぜひ奥駿河の景色を楽しみながら、「鯨と目を合わせる展」に足を運んでみてください。

北見美佳さんSNS

Instagram:@mika_kitami
facebook:@mika_kitami.9

■ 4月25日(木)まで開催中の手拭い展「tenue d’IZU布と生活展」にゲストとして出品(会場:ららぽーと沼津1階 沼津コートギャラリー)
■ 5月2、3、4日に開催する「吉田温泉(沼津市吉田町)」企画展にマッコウクジラの絵を出品
■ 5月25、26日開催「海からの贈りもの展vol.5」に出店(場所:omusubi / 静岡県沼津市)
■ 7月13、14、15日開催「海からの贈りもの展vol.6」に出店(場所:無印良品MUJIメトロポリタンホテル鎌倉/ 神奈川県鎌倉市)

施設情報 – omusubi

所在地:静岡県沼津市内浦三津129
OPEN日:イベント開催時のみOPEN。スケジュールは、SNSでお知らせ
Instagram:omusubi(@omusubi130)/OKUSURUGA BOARD(@okusurugaboard

omusubiの次回イベント

海からの贈りもの展 vol.5

海で見つけた素材や、海のいきものモチーフなど、海にまつわる作品が、海が好きな人たちと一堂に集まります。

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🪼5/25 (Sat)出店者🪼

💍UMI by MAASA
@umibymaasa アクセサリー

🔵すがわら まゆみ
@namino.neiro 浮き玉や海雑貨

👜Nikora’s seashore
@nikora_seashore 海柄のバックや小物

🧁ゆなスイーツ
@yunasweets_ 焼菓子

🟢Shelloreille
@beachcombing.izu 海雑貨

🎄みほ
@miho.0315.tkn 海雑貨

🖼️北見美佳
@mika_kitami 絵画展示とオリジナルイラスト商品

☕チャトラコーヒー
@chatoracoffee

𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽𓇽

🐋5/26(Sun)出店者🐋

💍UMI by MAASA
@umibymaasa アクセサリー

🔵すがわらまゆみ
@namino.neiro 浮き玉や海雑貨

👕手仕事のらや
@teshigoto.noraya 海柄のTシャツやバッグ

🧁ゆなスイーツ
@yunasweets_ 焼菓子

💍HARUCARVING はるぷちゃ
@haru.pthai4827 アクセサリー

🟢Shelloreille
@beachcombing.izu 海雑貨

🥣清水うのう
@unouno87 器

🖼️北見美佳
@mika_kitami 絵画展示とオリジナルイラスト商品

☕チャトラコーヒー
@chatoracoffee

詳細は「海からの贈りもの展」専用Instagramをご覧ください。

※2024年4月に取材しました

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